
「デジタル課税」は、国内に支店や工場などがない外国企業に対して、法人税を課税するための制度です。
インターネットを通じて海外へと気軽にサービス(動画や音楽など)が提供できるようになった時代背景を受けて、導入が検討されるようになりました。
デジタル課税が生まれた理由は「利益が特定の企業に偏っているから」です。
とくに「GAFA」が大きな影響力を与えています。
GoogleのYoutubeやAppleのiOSなど、巨大テック企業は他国に支店や工場を持たなくてもサービスを提供することが可能でした。
しかし上記の通り、従来の法律では他国に支店や工場を持たない企業に対して法人税を課税できません。
そのためサービスが展開される国では、消費が生まれるにかかわらず国の収益が減少してしまう、という不公平が発生してしまいました。
このような歪みを是正するために、一律の割合で税金の徴収が可能になるデジタル課税が導入されるのです。
デジタル課税が導入されることにより、2つの問題が解決されます。
1つめは「市場国が課税権を獲得する」です。
デジタル課税の導入により、Googleの拠点がない国でGoogleのサービスに課金をしても、課金をした人が在籍をする国の税収が潤うようになります。
2つめは「法人税の引き下げ競争の緩和」です。
これまでは軽課税国に所得を移転することで、本店所在地の税収が損なわれていましたが、一律で課税されるデジタル課税が導入されれば、そのような手法は使えなくなります。
2020年代半ば現在、国際的なデジタル課税の枠組みはOECD(経済協力開発機構)主導で多国間合意に達し、多くの国が段階的に導入を進めています。
GAFAをはじめとする巨大テック企業は、新しい税制に対して一定の理解を示しつつも、依然として税負担の公平性や競争環境への影響を懸念しています。
Meta(旧Facebook)の経営陣も透明性の向上や持続可能なビジネス運営のための取り組みを強化しています。
日本では、OECDの包括的枠組みを受け入れ、2024年からデジタル課税の一部が適用開始されています。
適用対象は、年間売上高が約2600億円(2.6兆円ではなく2600億円が正しい)を超える多国籍企業で、利益率やその他の条件も勘案されます。
GAFAだけでなく、多くのIT企業やプラットフォーム事業者が対象となる可能性がありますが、国内企業でこの基準を満たす例はまだ限られています。
デジタル課税はグローバルでの税制調整が継続しており、制度の実効性向上や適用範囲の拡大が見込まれています。
特に、日本政府は国際協調を重視しつつ、国内企業の競争力維持も図るバランスを追求中です。
税制の変更はビジネス環境に影響を与えるため、企業や個人も動向に注視しながら対応を準備する必要があります。